今回の酒蔵紹介はいすみ市の「木戸泉」です。

酒蔵のシンボルといえば杉玉。酒林ともいい、お酒の仕込みが始まる頃、杉が青々とした出来立ての杉玉が軒先などに吊るされ、お酒の熟成につれて褐色に変化し、新酒の出来上がりを知らせてくれます。
ひときわ大きな杉玉が目を引く木戸泉は、日本酒愛好家にはユニークな酒造りで広く知られています。
昭和31年から高温山廃仕込を始めて、以来、時流に流されない酒造りを続けています。
この場合の高温というのは、日本酒の多くが6度から15度くらいで醸造されるのに対して、天然の乳酸菌を用いる木戸泉の高温山廃?では55度に達するとのこと。独自の山廃の技術は他の蔵からも一目置かれる存在です。

木戸泉の味の特徴は酸味ですが、この特徴は今でこそ酸味をアクセントに使う酒蔵が急増していますが、昭和の時代にはかなりユニークだったはず。
この特徴は、添加物や農薬、化学肥料を使わない酒造りにこだわった結果として生まれ、半世紀以上、愛され続けて来ています。
その過程で、古酒の製造もおこなわれ、現存する最古のものは何と昭和44年製造とのこと。1年、5年、10年、15年、20年の5種類の「古酒五曲 秘蔵古酒詰合せ」というセットもあり、蔵元の先見の明に驚かされます。

写真の前列は、山廃の濃厚な味わいと甘みと酸味で木戸泉を代表する銘柄「アフス」の、純米生と赤ワイン樽熟成。
後列は、山田錦の旨味と爽やかな酸味が味わえる「純米 醍醐」と、「白玉香 純米無濾過生原酒」、そして無農薬、無化学肥料はもちろん堆肥も植物由の自然農法で育てられたお米を原料にした「自然舞 純米酒」です。
アフスにはシェリー樽熟成や古酒などもあります。「高温山廃?」という蔵独自の個性が 生み出す革新。これからも楽しみにしています。

木戸泉のペアリング

かつて、日本航空の国際線のファーストクラスで提供されたこともある、いすみ産チーズを木戸泉のお酒で浸した「酒びたし」という商品がありました。

チーズ工房のご主人が引退して今は手に入りませんが、いすみにはチーズマップが作られるほど、他にも手造りのチーズ工房があります。

酸味にアクセントがある木戸泉はチーズとの相性も抜群。カルパッチョというにはちょっと身厚になりましたが千葉県産の鯛と、チーズはフランス産各種とイタリア産の水牛のモッツァレラを用意。Afruge 赤ワイン樽熟成 2017年(前述のアフスの赤ワイン樽熟成)と合わせてみました。
お酒の酸味と旨味が肴とマッチして、お互いを引き立てます。
木戸泉は濃厚な味わいとキレと酸味が食中酒としても抜群です。

千葉の地酒を買う 「させ酒店」(千葉市稲毛区)

こちらのお店は、何といってもこの冷蔵庫の充実ぶりにワクワクさせられます。全国の銘酒から目利きしたお酒が並びますが、以前、この稿でご紹介した県内の酒蔵のお酒も並んでいます。

こちらのお店の入り口には特別な冷蔵庫があり、発泡系の日本酒などが収まっていますが、ここにはかなりの木戸泉のアフスも並びます。
聞けば店主はかの東京農業大学醸造科で木戸泉の蔵元とは先輩、後輩の仲だったとのこと。
全国の酒蔵で東京農業大学醸造科の卒業生が活躍していますが、そうした蔵元とface to faceの付き合いで仕入れるお酒の数々や、丁寧で気さくな対応でお酒を選ぶ楽しみが広がるお店です。

■木戸泉酒造株式会社
 〒298-0004 千葉県いすみ市大原7635-1
 TEL:0470-62-0013
 http://www.kidoizumi.jp/

■させ酒店
 〒263-0024 千葉県千葉市稲毛区穴川3-3-3
 TEL:043-251-3444
 https://www.sasesaketen.com/